Q、私は、父が昭和51年頃に借地して建てた木造家屋に住んでいます。
契約書は20年契約になっています。数年前に父が死亡し、建物は私が相続しました。先日、「私の名義で新しい契約書を作成してほしい」と言われました。どうすればよいでしょうか。
A、あなたは、建物とともに敷地の借地権も相続したのですから、当然あなたが借地人になっています。そして、あなたが相続した借地権は、昭和51年頃に設定されたものですから、契約の更新に関しては、借地借家法ではなく、廃止された借地法の適用があります(附則6条)。
そうしますと、20年間の存続期間満了後、20年そして20年と法定更新されてきたものと推測されます。地主は、自分で使用する必要が生じた場合など「正当の事由」があり、かつ、遅滞なく異議を述べない限り、更新を拒絶することができないからです。
あなたの名義で契約書を作成してほしいという地主からの申出も、あなたが正当な借地人であることを認めた上でのものと解するべきです。
その上で、あなたには、そもそも新しい契約書を作成する義務自体はありませんので、地主の要望に応じるかどうかは自由です。
また、新しい契約書の内容に納得がいかなければ、応じなくても構いません。
地主の申出に応じるのであれば、提示された契約書の内容があなたにとって不利な内容になっていないかどうか、注意すべきです。
また、新しい契約書を作成して契約を更新する場合、それまでの契約の継続という文句が入らず、契約書自体からは、全く新しい借地契約であるかのように見られるおそれがあり、借地借家法の適用対象にされてしまう危険性があります。
当初の借地契約の締結日を挿入し、その契約の更新であることがわかるように明記してください。
旧契約書や地代通帳など、借地法が適用される契約であることを示す書類も保管しておいてください。