1. 借家が競売にかかったら
借地借家の相談

借家が競売にかかったら


Q.2年契約で建物を借りて住んでいます。ところが、家主が借金を返済できず、私の住んでいる借家が競売にかかることになりました。私はどうなるのでしょうか。
 
 
A.あなたは、借家を借りて住んでいるということですから、借家の引渡を受けていたことは明らかです。
  その後に、家主が借家に抵当権を設定して登記がされたのであれば、あなたは、抵当権者そして競売によって借家を取得する新所有者に、借家権を対抗することができます。
  その結果として、新所有者が家主の地位を引き継ぎ、あなたとの間で賃貸借関係を続けていくことになります。
               
  しかし、すでに抵当権設定登記がされた後にあなたが借家の引渡を受けていた場合には、借家権をもって新所有者に対抗できませんので、明渡しを求められれば応じなければならないことになります。
 
  民法が改正され、民法395条の「短期賃貸借の保護」規定は廃止されることとなったので、抵当権に対抗することができない賃貸借により建物を占有する人は、明渡しに応じなければならないことになります。
 
  ただし、建物の競売によりその所有権が買受人に移転した時から6ヵ月間の明渡猶予期間が与えられることになりましたので、6ヵ月以内に次の移転先を探すことになります。
  猶予期間中は、賃借人は賃料相当額を不当利得として返還しなければなりません(賃料支払いと実質的には同じ)。
  もし、この支払いを怠った場合には、明渡猶予は受けられなくなりますので、注意してください。