Q.息子が大学を卒業して就職し、それまで住んでいたアパートを出たのですが、敷金として払っていた10万円を返してくれません。それどころか畳やふすまの入替費用、壁や天井のクロスも汚れていたので、その張替費用などに25万円かかったと言って、借主が原状回復して立ち退くべしという契約を楯に、逆に15万円の請求をされました。支払わなければならないのでしょうか。
A.アパートに住んでいれば、日常生活によってその部屋の中が汚損したり、破損したりすることは避けられません。このような通常避けられない汚損や破損の修繕義務は貸主にあると民法に定められています。
通常の生活によって生じた汚損等の修繕費用は、毎月の賃料に含まれており、貸主は貸した部屋を使えるように提供してこそ、家賃を受け取って利益が出ると考えられるからです。
そこで、息子さんのアパートの契約にある原状回復義務も、通常の生活から生じた汚損等は含まれず、たとえば部屋を広げるために壁を取り払ったなどの特別の場合について定めたものといえます。
したがって、家主の請求は不当なものです。請求を断って敷金10万円の返還を求めることができます。