Q.私は小さなアパートを持っていますが、賃借人が家賃を1年間も払わず、最近では家財道具を部屋に置いたまま、帰ってきません。どうしたらよいでしょうか。
A.この賃借人はもうアパートに帰ってこないかもしれませんが、現在も賃貸借契約は続いていますから、このまま新しい人に貸すと、二重契約になってしまいます。
そうしないためには、今の契約を家賃の不払いを理由に解除することが必要です。
家賃を1年間も滞納してれば、重大な義務違反として、契約を解除することができます。
ところで、この解除の意思表示は、相手に到達しないと効力は生じません。賃借人の所在がわかっていれば、そこに内容証明郵便で解除の通知を出せばよいでしょう。
所在がわからないときは、裁判所での「公示送達」という方法で解除の通知を出すことができます。
しかし、解除の通知を出したからといって、勝手に部屋を空けたり荷物を処分することは、自力執行の禁止といって違法です。
時間や費用はかかりますが、アパートの部屋の明渡しを求める裁判を起こし、判決を得て、裁判所に強制執行の申立をするのがよいでしょう。
その場合、賃借人が置いていった荷物の処理のために、滞納家賃や賃料相当損害金の支払いを求める請求も同時に加えて、それらの支払を命じる判決も得ておくことをお勧めします。競売によって荷物を適法に処理することができるようになるからです。
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