Q.30歳になる息子と同居しています。恥ずかしい話ですが、息子が私の実印を盗み出してサラ金からお金を借りてしまいました。私に責任はあるのでしょうか。
A.他人の行為であっても本人が代理権を与えているような場合には責任を負ってしまいます。
代理権を与えていない場合には責任を負うことはありません。
しかし、他人から見て代理権を与えていることがもっともであるという場合には、表見代理と言って責任を負う場合があります。
実印というのは法律的な行為にしばしば使われます。
そこで、本件で言いますと、実印を使っているので、他の人から見ると息子さんに代理権を与えているという印象を持たれてしまうのではないかという点で問題になります。
確かに、実印は大切なものとされていますから、それを持っている人が保護されなければ信じた人に大きな被害を与えることがあります。
しかし、いくら実印を持っているとはいっても、本当に代理権を与えたかどうか本人に確かめる必要もありましょう。
特に同居の親族であれば容易に実印を盗み出すことができるのですからなおさらです。
そこで、同居の親族が実印を使用した場合には本人に確かめなければならないというのが判例です。
あなたの場合、サラ金業者が電話などして確かめなかったというのは業者の落ち度ですから、あなたに責任はないと言えましょう。