養育費、払ってもらえなかったら?
離婚後によく問題となるのは、お子さんがおられた場合の養育費です。離婚時に養育費の取り決めをしているのは 母子世帯の42.9%ですが、そのうち現在も養育費を受けているのは24.3%で、一度も養育費を受けたことがない人は56.0%に上っています(平成28年度全国ひとり親世帯等調査)。
養育費の支払いが止まった場合、まず考えられるのは相手への督促です。弁護士を代理人に立てて離婚した場合は、弁護士に要請して、督促してもらうことが考えられます。
家庭裁判所の調停や審判、裁判などで養育費を決めていた場合は、その家庭裁判所に申し出れば、裁判所から相手方に対し、決められた養育費をきちんと支払うよう、勧告や命令を出してくれます。但し、強制力はありません。
それでも支払われない場合は、給料や預貯金の差押など、強制執行をすることになります。ただし、強制執行をするためには、公正証書や調停調書、判決正本等の強制力のある債務名義が必要です。離婚後のためにも、養育費についての取り決めは、口約束ではなく、こうした効力のある書類を作っておくようにしましょう。
子の進学費用でお金がかかる
離婚後、お子さんが私学に進学するなどで、思ったより学費がかかる、ということもあります。こんなときのため、離婚時に、お子さんの15歳、18歳などの節目に、養育費とは別の教育費として、支払時期や金額を特定できるような具体的な取り決めをしておくことが大切です。
子どもとの交流-京男さん(仮称)と都子さん(仮称)の場合は?
〇京都にお住まいの京男さんは、都子さんと離婚したばかり。5歳の律くん(仮称)は、親権者である都子さんと 一緒に横浜で暮らしています。京男さんは、律くんに会いたいと思いました。
こんな時は、子どもとの面会交流について、京男さんと都子さんが話し合いをする必要があります。もし、当事者間で話し合うことが難しい場合は、家庭裁判所に面会交流の調停または審判を申し立てることもできます。
〇京都と横浜は遠いので、京男さんは年に1回しか律くんに会いに行けません。ほかにどんな交流の方法があるでしょうか。
都子さんの了解が得られれば、定期的に律くんと電話で話をしたり、手紙のやりとりをしたり、入学式や学校行事などの写真を送ってもらったりするという方法が考えられます。
家庭裁判所では、面会交流について考えるにあたり、子の心身の状況、監護状況、子の意思、父母の意思、緊張関係の程度などの事情が総合的に考慮されています。
なお、DV(配偶者からの暴力)があったことを理由に、面会交流が認められないこともあるようです。
未成年の子をのこして亡くなったら?
日本は単独親権制ですので、離婚の際には父母のいずれか片方のみが親権者となります。仮に、離婚後に親権者となった親が、未成年の子をのこして死亡してしまった場合 でも、生きている親が自動的に親権者に復活する、ということにはなりません。また、いったん指定した親権者を変更することはかなり困難です。
この場合、原則として、子やその親族等利害関係人からの請求で、家庭裁判所が未成年後見人を選任することになります。
もし、生存親に子の代理人になってほしくないなどの事情がある場合は、生前に遺言で、自分亡き後の未成年後見人を指定しておくことも可能です。詳細は、弁護士にご相談ください。