女性?男性?性?
多くの場合、人は性器によって女性、男性が判断されます。これを身体的性とか生物学的性と言います。そして、性器の他にも生殖腺、性ホルモン、性染色体など、女性ならこう、男性ならこうという一般的特徴によって人は女性、男性に区別されます。しかし、身体的性にも個人差がありますので、一般的な特徴を絶対的な基準だと決めつけてしまうことは、例えば南アフリカの陸上選手セメンヤさんの例のように、その人を個人として尊重(憲法13条)することにならない結果になります。
自分は女性?男性?
自分の性をどのように認識しているのかを意味する言葉が性自認です。身体的性に比してこころの性とも呼ばれ、多くの人は身体的性と性自認が一致します。しかし、一致しない人も少なくありません。そのことによって違和感や苦痛を覚えることを「性同一性障害」と呼ぶことがありますが、障害という呼称を変更し精神障害の分類から除外する世界の流れは、ひとり一人を大切にするという個人の尊重の理念に沿うものです。日本の「性同一性障害特例法」も、この流れに沿って改正される必要があります。
個人の性的志向を認めよう!
どの性に魅力を感じて好きになったり、ならなかったりするのかをあらわす概念が性的志向です。人が人に魅力を感じて好きになることはごく自然のことであり、その相手の人が異性であれ同性であれ、お互いの気持ちが通じ合って いるのなら、二人の気持ちを尊重することが個人の尊重にかないます。異性愛が「普通」であって同性愛は「異常」だと非難されたり、差別や偏見を受けることはおかしなことです。
同性婚を認めていない民法は 憲法違反!
民法は、身体的性に基づいて届けられた戸籍上の性が異なる人同士の婚姻(異性婚)しか認めていません。あなたが魅力を感じて好きになり、結婚したいと考えた相手の人が戸籍上同性であったとき、婚姻(同性婚)することができないのです。2021年3月17日、札幌地方裁判所は、同性婚を認めていない民法の規定が不合理な差別であって憲法14条1項に反すると判断して、同性婚を求める人たちに希望を与えました。同性のパートナーに婚姻と同様の法的地位を認めようというパートナーシップ制の導入を後押しする判決です。判決は、性的志向が人の意思によって選択・変更できない事柄であるとした上で、異性愛者にのみ婚姻によって生じる法的効果を与え、同性愛者にはその法的効果の一部すら与えていない区別取扱いが合理的根拠を欠くと判断しました。
性的志向を尊重する方向をさらに徹底しようとするなら、本人の意思で性的志向を選択し変更することができるできないを問うことなく、愛し合う二人が結婚できるようにすることではないでしょうか。それが個人の尊重にもっとも沿う婚姻制度です。
性の多様性を認め、尊重し、婚姻含む法制度を平等にすることによって、ひとり一人を大切にする社会を実現していきましょう。