お互いに離婚することは同意しているけれど、離婚の条件について話がまとまらない…。離婚した後で困らないようにしておきたい…。協議離婚がむずかしければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法が考えられます。調停が不成立となれば、裁判離婚という方法があります。
協議離婚
夫婦で話し合いをして合意ができれば、「離婚届」を提出することによって離婚が成立します。
協議離婚には、公正証書を作成する場合と、作成しない場合の2つのパターンがあります。
◆公正証書を作成しない場合
- 届出時期…随時
- 届出先…本籍地または所在地の役所に「離婚届」を提出します。
- 費用…無料
- 特徴…早い。費用の心配がいりません。
口約束や当事者で作成した合意書の場合は、養育費などの支払いが滞ってもただちに強制執行(給料や預貯金の差押えなど)の申立をすることができません。
このようなデメリットを避けるためには、公正証書による方法があります。
◆公正証書を作成する場合
- 公証人役場に出向く人…原則として夫と妻の2人が窓口に出向く必要があります。
- 必要なもの…写真付き身分証明書と認印(または印鑑証明書と実印)
- 費用…詳細は公証人役場のホームページなどでご確認ください。
このほか公正証書・正本・謄本代(枚数によりますが3千円程度)が必要です。
- 届出時期…公正証書作成後に「離婚届」を提出することをおすすめします。
- 届出先…本籍地または所在地の役所に「離婚届」を提出します。
- 特徴…比較的早いです。支払いが滞った時に、強制執行を行うことができます。
費用がかかります。夫婦間で合意できなければ、公正証書を作成することができません。
調停離婚
家庭裁判所で、調停委員と裁判官が間に入って話し合いを行い、離婚条件を含めて合意ができれば、調停調書に合意内容が記載され、離婚が成立します。
- 調停の申立…夫または妻
- 調停の管轄…相手方の住所地の家庭裁判所(または当事者が合意で定める家庭裁判所)
- 費用…収入印紙1200円分、切手
- 届出時期…調停成立日から10日以内
- 届出先…本籍地または所在地の役所
- 届出に必要なもの…調停調書の謄本、戸籍謄本、印鑑
- 特徴…費用が比較的安いです。第三者を介して話し合いができ、希望すれば夫婦が顔を合わせることなく(夫婦が同席せずに)調停を進めることができます。支払いが滞った時に、強制執行を行うことができます。
調停は、1~2か月に1度のペースで行われることが多いため時間がかかります。
裁判離婚
家庭裁判所に離婚訴訟を申し立て、民法の定める離婚原因があると認められれば、判決によって離婚が成立します。訴訟中に和解によって離婚が成立する場合もあります。
なお、原則として、まずは調停を申し立てなければならず、調停が不成立になれば離婚訴訟を提起することができます。
- 訴訟の提起…夫または妻
- 訴訟の管轄…自分または相手方の住所地の家庭裁判所
- 費用…収入印紙(請求する内容により異なります)、切手
- 届出時期…判決確定日(または和解成立日)から10日以内
- 届出先…本籍地または所在地の役所
- 届出に必要なもの…判決書謄本とその確定証明書(または和解調書の謄本)、戸籍謄本、印鑑
- 特徴…相手が離婚を拒んでいても、民法所定の離婚理由が存在すれば、離婚が認められます。支払いが滞った時に、強制執行を行うことができます。
費用がかかります。時間がかかります。
※上記のほかに「審判離婚」という方法もありますが、あまり利用されていません。