1. 2014年6月

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集団的自衛権についての権力者の”嘘” ~ その2

 与党協議によって合意をはかろうとしている内容は、協議会の座長をしている高村正彦自民党副総裁の試案です。

 そして、この高村試案は、1972年10月14日、参議院決算委員会へ政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法との関係」をベースにしています。

  高村試案では、憲法9条の下で許される武力の行使について、これまでの政府の見解、基本的な論理は、この1972年見解にあると言い、1972年見解の基本的な論理は、今後とも維持しなければならないと言い切ります。
 
  もともと、憲法9条の解釈として集団的自衛権の行使が許されるのかが問題ですから、従来の解釈を変更して、行使が許されるというのであれば、論理的整合性をもたせた条文の解釈論を展開しなければなりませんね。

 今回も、政府は条文の解釈論として展開することはありませんから、そもそもおかしな議論です。

 まあ、その点は差し置くとしても、解釈を変更するのであれば、従来の政府の見解との間に論理的整合性が必要であることは言うまでもありません。

 そこで、権力者の嘘を見破るために、1972年見解をきちんと理解したいと思います。

 

    弁護士 小笠原 伸児

集団的自衛権についての権力者の”嘘”

 政権与党である自民、公明は、これまで認められないと解釈してきた集団的自衛権行使につき、遂にと言うべきでしょうか、認められるとする解釈を打ち出します。

 法解釈変更の可否について、法律の解釈は、明文の範囲を逸脱しない限り、一定の価値判断のもとに変更されることは可能です。決しておかしなことではありません。
 
  政権与党は、この一般論を強調して、日本の安全保障環境が激変しているため、日本の安全保障の実効性を高める必要があるとの価値判断のもとに、今回の解釈変更も当然のことだと主張します。

 解釈の変更は一切ダメという硬直的な発想はどうかなあ、限定的に縛りを掛けて認めるならいいかも、という世論の空気を読んだ、この権力者の主張に、私たちはだまされてはなりません。

 集団的自衛権の行使が認められるとなれば、日本社会のあり方を根本から変更することになります。

 ここはひとつ、ブログを更新して発言します。

    弁護士 小笠原 伸児