与党協議によって合意をはかろうとしている内容は、協議会の座長をしている高村正彦自民党副総裁の試案です。
そして、この高村試案は、1972年10月14日、参議院決算委員会へ政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法との関係」をベースにしています。
高村試案では、憲法9条の下で許される武力の行使について、これまでの政府の見解、基本的な論理は、この1972年見解にあると言い、1972年見解の基本的な論理は、今後とも維持しなければならないと言い切ります。
もともと、憲法9条の解釈として集団的自衛権の行使が許されるのかが問題ですから、従来の解釈を変更して、行使が許されるというのであれば、論理的整合性をもたせた条文の解釈論を展開しなければなりませんね。
今回も、政府は条文の解釈論として展開することはありませんから、そもそもおかしな議論です。
まあ、その点は差し置くとしても、解釈を変更するのであれば、従来の政府の見解との間に論理的整合性が必要であることは言うまでもありません。
そこで、権力者の嘘を見破るために、1972年見解をきちんと理解したいと思います。
弁護士 小笠原 伸児