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消費者金融5社、自殺の保険金3600件受領(05年度)
「命担保」浮き彫り −9月13日付朝日朝刊−
警察庁によると、05年の全国の自殺者数は、3万2552人で、そのうち、自殺の動
機が「経済・生活問題」にあるケースが7756人にもなるとのことです(上記朝刊)。
そして、上記朝刊の報道によれば、アイフル、アコム、プロミス、武富士、三洋信販の
消費者金融大手5社が、05年度に、借り手にかけた生命保険金から、3万9880件の
死亡保険金を受け取り、このうち、約1割の3649件の死亡理由は自殺だったそうです。
テレビのコマーシャルで消費者金融会社がみせる微笑みや、明るさの裏で「命を担保」
にとる過酷で悲惨な実態が浮き彫りになったと言えそうです。
9月19日付朝日朝刊では、元消費者金融社員による過酷な取立の実態の証言内容が報
道されています。例えば「社員の督促電話のノルマは1日300本。自宅にいる客には1
時間おきにかけ続ける」、「死にたいと連呼する女性には、死ねるものなら死んでみろと
すごむ」、「電話連絡が取れず自宅に訪問する際は、ドアを蹴り、脅かす」、「居留守の
ときは隣近所に聞き込みをし、いたたまれないようにする」などなど。そして「60歳を
超えて連絡を絶ち、かつ返済が4ヶ月以上遅滞している債務者の半数は、自殺だった」と
いうことです。
消費者金融から借り入れをする人の事情には、病気、事故、失業など必ずしも本人が悪
いと言い切れないものもあります。そして、借り手の多くの人は、借金を重ねても何とか
返済しようとします。しかし、現在、消費者金融各社は29パーセント近い高い金利を取
っているため、多くの借り手はやがて支払うことができなくなってしまいます。その中で、
過酷な取り立てが行われ、多くの命が絶たれているのです。
現在、消費者金融の高金利の引き下げのための法改正案が国会に提出されようとしてい
ますが、特例の高金利を認めるようではいったい、何のための、誰のための法改正なのか
が問われます。
弁護士 高 山 利 夫

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