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「国民投票法案骨格固まる」
−与党、『18歳投票』など了承−12月7日朝日新聞朝刊−」
現在、国会に提出されている憲法改正の具体的な手続を定める国民投票法案について、
上記報道は、自民党が、投票権者の年齢を民主党の案に沿って「18歳以上」にそろえる
など、9項目の法案修正の骨子を了承し、今後、公明党、民主党が党内手続を進め、自民
党と3党で法案を共同修正する内容の骨格が固まり、来年の通常国会での成立をめざす、
と報じています。
投票権者の年齢以外の修正内容は、@国民投票の対象を憲法改正に限定する(ただし、
それ以外のテーマに対する国民投票は将来の課題として国会で議論する)、A投票用紙へ
の記載方法は、用紙に賛成、反対の各欄を設け、どちらかに何らかの記載する方式とする、
B特定の公務員について国民投票に関する運動を禁止する対象を選挙管理委員会の職員の
みとする、Cテレビ・新聞の「無料広告」については、改憲に賛成の立場、反対の立場を、
時間、スペースが平等になるように割り当てる、D法律の施行日を公布後3年(この間は
衆参憲法審査会での改憲案の審査権限も凍結する)とする、というものです。
しかし、前月号で述べたとおり、憲法改正については、尚、国民の間で議論がわかれ、
しかも、改正の内容についても国民の世論が固まっていない段階で、急いで、憲法改正の
ための手続法を制定する必要性があるのかどうか疑問です。 また、上記修正内容の報道
では、まだ、法案の問題点がすべてクリアーされていないように思われます。その一つは、
改憲案の国会での発議から国民投票までの期間について、法案が最低90日と定めている
ことです。憲法改正国民投票で重要なことは、主権者である国民一人一人に対し、改正の
内容はもちろん、その影響、効果、などに関する情報が十分伝達され、かつ、国民の間で、
十分議論し、考えることが出来る期間が必要です。日本弁護士連合会は、この期間を最低
1年は必要と指摘しています。また、憲法改正が国民の多数によって行われたと言えるた
めには、最低投票率を定めることも検討されてよいと思います。そして、何より、憲法改
正について、国民が自由に意見を表明し、交換し合い、討論することができ(国家公務員
法、地方公務員法の規制の対象としない)、改正に賛成する人たちと反対する人たちが、
公平かつ平等に遇されることがとても重要だと考えます。
弁護士 高 山 利 夫

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