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高山弁護士のニュース時評

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「改憲こそ…首相声高」
−1月18日付朝日新聞朝刊−
1月17日開催された自民党大会において、安倍首相が憲法改正への意欲を改めて強調
したことが報じられました。安倍首相は、1月4日の年頭の会見においても、「今年は、
憲法が施行されて60年、私の内閣で改正を目指していきたい」と表明しました。
この「朝日」の記事によれば、安倍首相が「改憲」にこだわるのは、就任当初に期待さ
れた『安倍カラー』を全面に出した各種の改革が実を結んでいないからだ」そうです。
そして、改憲の手続を定めた国民投票法案の通常国会での成立が、改憲に向けた一歩と
なる、とこの「朝日」の記事は指摘しています。
しかし、憲法改正は、時の政権担当者のカラーを打ち出すために取り組むことが許され
るテーマでしょうか。今の憲法には、1945年までの国民一人一人の記憶と経験が凝縮
されているのではないでしょうか。また、戦争の加害と被害という面では、数え切れない
アジアの人たちの想いが込められているはずです。時の政権担当者のカラーや指導力の演
出をすることをねらって議論すべきテーマではないように思います。
しかも、現在、国会で継続審議になっている国民投票法案が、法案の必要性やその中味
の是非が十分検討されないまま「改憲に向けた一歩」を踏み出すために、言いかえれば改
憲の機運を盛り上げるために制定されるようなことはあってはならないと考えます。
弁護士 高 山 利 夫

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