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高山弁護士のニュース時評


「防衛相辞任 原爆投下から目そらすな」

(7,4朝日社説)

『「原爆容認」は許されぬ』

(7,2京都社説)  久間章生前防衛大臣が6月30日、講演でアメリカの広島、長崎への原爆投下について、 「あれで戦争が終わったのだ、という頭の整理で今、しょうがないなと思っている」と発 言し、7月3日辞任しました。この間、新聞、テレビ等で久間発言に対する厳しい批判が 起こり、久間さんの任命権者である安倍首相が、当初、この発言を問題視しなかったこと に対しても厳しい批判が寄せられました。  核兵器の使用については、国際司法裁判所が、「国際法や人道的な原則に一般的に違反 する」という勧告的意見を出しています。防衛大臣なら国際法と核兵器使用との関係くら いはせめて理解して欲しいと思います。  まして、久間さんは、長崎を選挙地盤にして衆議院議員になっている方です。長崎、広 島で、どれ程の方々が原爆で亡くなられ、今でも多くの方々が被爆の影響で苦しまれてい るかを久間さんが知らないはずがないと思います。辞任は当然です。  しかし、安倍首相が、当初、久間さんは「アメリカの考え方について紹介したと承知し ている」として久間さんの発言は問題ないという認識を示したのは、理解できません。昨 年、麻生太郎外務大臣らが日本の核保有の必要性を認めるような発言をしましたが、どう も、問題の根は同じような気がします。  日本は、唯一の被爆国として、非核三原則を唱え、国際社会に核兵器廃絶を訴えていま すが、他方、アメリカの核の傘に入っています。アメリカが核兵器を使用する姿勢を排除 していないことに対しても、極めてあいまな態度をとっているように見えます。アメリカ との外交、防衛関係についても、非核三原則、核兵器廃絶をあいまいにしてはならないと 考えます。 弁護士 高 山 利 夫



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