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「テロ法案きょう衆院通過、特別委可決、再議決が焦点に」
−「新テロ法案、衆院通過」−
京都新聞11月13日付朝刊、夕刊など−
11月13日の各紙は、インド洋での海上自衛隊による給油活動を再開するための新テ
ロ対策特別措置法案が12日衆院テロ特別委員会、13日衆院本会議で自民、公明などの
賛成多数で可決され、衆議院を通過し、参議院に送付されたことを報じています。
上記報道は、新テロ法案のポイントとして、@国連安保理決議で評価されたことを踏ま
え、テロ根絶に主体的に関与することを謳っていること、A活動が武力による威嚇、武力
の行使に当たるものであってはならないこと、B活動を給油と給水に限定したこと、C国
会に事後報告で足りること、D1年の時限法であること、但し、法律で1年以内の延長が
可能なこと、などをあげています。
また、上記報道は、第2面、第3面で、野党が過半数を占める参議院での審議の予測や
参議院で否決された場合の衆議院での3分の2以上の賛成による再議決をめぐる政局の動
向に関する記事を掲載しています。
今後の政局の動向はわかりませんが、上記報道が新テロ法案のポイントとしてあげてい
る点は、この間、様々な疑問や批判がテロ特措法に寄せられていたことを踏まえて、それ
が解消されているかどうか見る必要があります。
まず、安保理決議による評価という点ですが、無償で給油を受けている国々や給油活動
によって直接、間接に恩恵を受ける国々が、日本のインド洋での無償の給油活動を評価す
るのは自然なことでしょう。問題は、もっぱらアメリカ軍の軍事作戦として展開されてい
る活動に対する給油や給水による支援活動をどう評価するのか、という点です。民主党の
小沢代表が指摘しているとおり、アメリカの軍事行動に対する支援は、憲法上許されない
し、日本のとるべき方策ではない、という意見はやはり正鵠をえていると思います。テロ
対策という面からみても、海に面していないアフガニスタンにテロ対策を講じるのに、ど
うしてインド洋に軍艦が必要なのか、よくわかりません。むしろ、アフガニスタンに民生
支援をしているNGO代表者が、空から爆撃をしておいて、民生復興とはどういうことか、
という声に共感を覚えます。
武力行使との関係も、法案の文言だけではなく、テロ対策として実際行われる軍事行動
に目を向ける必要があります。地上の戦闘では米軍やその他派兵をしている国の軍隊に死
傷者が多数でるため、空爆が行われると聞きます。空からでは、一般市民との区別がつか
ないはずです。空爆で子どもや女性が多数犠牲になるのはこのためでしょう。そして、空
爆する爆撃材を搭載する戦艦に給油することは、間接的に軍事行動に加担することです。
活動を給油と給水に限定したとされている点も、根本的なテロ対策を考えると意味がな
いように思います。テロ対策のためにも、アフガニスタン国内の復興支援、かんがい施設
や食料援助、病院建設や医療支援などを徹底すべきなのではないでしょうか。
国会に対する事後報告という点もシビリアンコントロールの面から問題です。現に戦闘
行動が行われているところに自衛隊を派遣することは、事前に国会の承認を得る必要があ
ります。給油をめぐる転用疑惑や給油量の報告をめぐる情報公開のあり方についてのこの
間の事態は、国会が事前にコントロールする重要性を示しています。
参議院では徹底した審議が求められます。
拝見 弁護士 高 山 利 夫

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