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「府職員の体験入隊検討」橋本知事
−6月17日付朝日新聞夕刊−
大阪府の橋本知事が陸上自衛隊信太山駐屯地を訪問し、府庁職員の体験入隊
について、「ぜひ検討したい」と前向きな姿勢を示したと報じられています。
対象の職員は、「40代くらいの府庁の事務にどっぷりと慣れ親しんだぐらい
の人」で、「自衛隊員のあいさつや姿勢などを学ばせたい」のだそうです。
とんちんかんでしょう。役所に行って、自衛隊式の直立不動の敬礼をされて
も、何の役にも立たないのではないでしょうか。府民に対する丁寧な行政サー
ビスや対応こそ心掛けるべきでしょう。自衛隊に体験入隊して身に付くもので
はありません。
「学ばせたい」という言い方もどうでしょう。タレント出身の知事こそ、住
民の福祉の増進をはかることを第一義とする地方自治の本来のあり方を大いに
学んでいただきたいと思ってしまいます。
ちなみに、体験入隊は、2泊3日で、午前6時起床、午後11時消灯、自由
時間なし、制限時間内での3キロ走、腕立て伏せ、腹筋をする体力検定、10
キロ行進、などがメニューだそうです。
橋本知事は、知事就任後、22のテレビ番組に出演し、公務外として「SM
AP×SMAP」、「たかじんのそこまで言って委員会」など3番組に出演し、
計126万円の出演料の収入があったそうです(6月19日付「朝日」)。テ
レビに出てタレント活動のアルバイトをするぐらいなら、などと言うつもりは
全くありません。知事の職務、職責と先の体験入隊のメニュー内容とはまった
く関連がありません。このことは、一般の職員の職務、職責も同じです。
しかし、財政再建の掛け声で府職員や府民に我慢と負担を求めるだけで、国
にはものを言わない、というのはいかがなものでしょうか。先の橋本知事の言
葉をお借りするなら、国の公共事業の下請けをさせられ、400億円もの支出
をさせられる(6月15日付朝日「橋本改革に国の壁」)構造に、「どっぷり
と慣れ親しんだぐらいの人」には、地方自治と公共事業のあり方について、是
非、違う角度から学んでいただきたいと思います。
弁護士 高 山 利 夫

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