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高山弁護士のニュース時評


裁判員候補、29万人 最高裁 通知は11〜12月

  −8月30日付朝日朝刊など− 来年5月から新たに一部の刑事裁判について実施される裁判員制度について、 最高裁は、来年分の全国の裁判員候補者が29万5000人余りなり、有権者 352人に一人が裁判員の候補者名簿にのることになる、と発表しました。 裁判員制度というのは、国民の中からくじで選ばれた裁判員が職業裁判官と 一緒に刑事裁判の審理に参加し、有罪・無罪を判断し、刑の重さを決める、と う制度です。 裁判員による裁判の対象となる事件は、殺人罪や強盗致傷罪などの重大な犯 罪に関する事件ですが、これを実施する裁判所は、全国に50ある地方裁判所 と比較的取り扱い事件数が多い10の支部です。 今回、最高裁が発表した数字は、裁判員裁判が行われる裁判所で1年間に見 込まれる対象事件数に、1事件あたり100人の候補者が必要と見込み、全体 として候補者数が29万5000人余りと算出したものです。この裁判員の候 補者に選ばれる確率が最も高いのが大阪地方裁判所の本庁で、221人に一人、 最も選ばれる確率が低いのが秋田地方裁判所の786人に一人、だそうです。 ちなみに、京都府では405人に1人、滋賀県は304人に1人、奈良県は4 29人に1人、神戸地裁本庁の管轄内では353人に1人、姫路支部の管轄内 では388人に1人、だそうです(同日付「毎日」)。 裁判員裁判を行う裁判所は、市町村の選挙管理委員会がくじで選んだ裁判員 の予定者の名簿をもとに、裁判員候補者名簿をつくり、今年11月から12月 にかけて、裁判員の候補者に通知します。この通知の際、名簿に載ったことと ともに調査表が候補者に送られます。この調査表では、裁判員になれない人( 国会議員、国務大臣、国の行政機関の幹部職員、司法関係者、大学の法律学の 教授、準教授、知事、市町村長、区長、自衛官など)や一年間を通して裁判員 を辞退できる理由の有無を調査します。 そして、裁判員裁判の対象となる事件ごとに、さらにくじで候補者の中から 50人から100人が裁判の6週間から8週間前に裁判所に呼び出され、裁判 員を選ぶための手続を経て、最終的には、くじで6人が選ばれます。 このように、来年5月から実施される裁判員の裁判について、いよいよ裁判 員を選ぶ手続が始まります。 この裁判員制度で、これまでの刑事裁判はどうかわるのでしょうか、よく考 えていきたいと思います。                    弁護士 高 山 利 夫



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