1. >
高山弁護士のニュース時評

 

裁判員制度を考えるJ〜裁判員裁判体験記2

はじめての裁判員裁判 いよいよ、裁判の準備がはじまりました。  まず、弁護人に選任された直後、Aさんと警察署の面会室で会い、事 実関係を聴きました。すでに、古川弁護士がAさんから事情を聴いてい て、そのメモも読んでいますが、はじめから話してもらいました。 9月、検察官から審理で予定している主張の内容を明らかにした書面 と請求する予定の証拠のコピーが届きました。それまでAさんと警察署 や拘置所で面会して既に聞いている事情と対応させながら、検討し、A さんの弁護に重要で必要な証拠の開示を請求しました。  この事件では、スムーズにすべての証拠が開示されました。証拠開示 については、今まで以上に、検察官が応じている印象です。これも裁判 員裁判がもたらした影響です。  これらの証拠をすべて検討した上、Aさんの弁護人として、公判で予 定している主張と証拠の取調べを請求しました。 そして、検察官と弁護人の予定主張と証拠調べ請求について、互いの 主張を整理して、争点を確認し、公判で取調べる証拠を決めます。この 手続きを行うのが公判前整理手続です。この事件では9月下旬と10月 中旬に2回、この手続が行われました。  この手続が終わった時点では、審理の進行スケジュールがほぼ決まっ ています。この手続は非公開で行われました。弁護士会やマスコミは公 開で行うよう求めていますが、今後の改善点の一つです。 Aさんの言い分も含めて、開示された証拠を検討して、方針を考える のと並行して、事件の関係者と会い事実関係などを確認する作業もしま す。この事件では、目撃者のCさん、A、Bさんの勤務先の社長、そし て、被害者のBさんのご遺族にもお会いして、お話しをお聞きしました。 こうして、公判が行われる12月8日の数日前には、弁護士として、 各証人に対する質問内容、審理の冒頭に述べる冒頭陳述の内容、審理の 最後に述べるいわゆる弁論(証拠調べの結果をふまえた弁護人の意見) の内容がほぼ決まります。本来はもっと早い時期に確定した方がよいの でしょうが、なかなかそうはいきませんでした。 前日の12月7日、審理に使用する機材(弁論で示す資料など)が裁 判員、裁判官から見えるかどうか確認するため、裁判所の許可をもらい、 審理に使用する法廷を見せてもらいました。  その際、私が担当する冒頭陳述の事実上のリハーサル(声の大きさ、 立ち位置は本番さながらの状況でやってみないと実感がわきません)が できたことは、あとから考えるとよかったと思います。                     弁護士 高 山 利 夫



<トップページへ>