人身傷害保険とは、任意保険契約にもとづき、自動車事故によって運転者や同乗者がケガをしたり死亡したりした場合に保険金が支払われる保険です。
その人身傷害保険の死亡保険金の請求権が相続財産に含まれるかが争われた訴訟の判決で、最高裁判所は、2025年10月30日、「相続財産に含まれる」という初判断を下しました。
判決によると、保険会社の人身傷害保険に加入していた男性が2020年に車を運転中に自損事故を起こして死亡しました。
法定相続人の順位は、その男性の子ども3人が1位でしたが、いずれも相続を放棄したため、順位2位だった母親が相続人となりました。
しかし、保険会社は、「契約条項は順位1位が受け取る内容」で「相続財産に属しない」などと主張して支払を拒否しました。
これに対し、最高裁は、人身保険の保険金は事故で被った損害を補う目的で支払われるもので、被保険者が死亡した場合は相続財産に含まれると判断しました。
そして順位1位に相続放棄があった場合、2位以降でも実際に相続した人に受け取る資格があると結論づけました。
今後は、保険会社の運用が見直される可能性があります。