1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

父子家庭にも児童扶養手当が支給されます

これまで母子家庭にしか支給されなかった児童扶養手当が、8月1日から父子家庭にも支給されるようになりました。男性差別の是正です。

児童扶養手当は、両親の離婚などによるひとり親家庭の生活の安定と自立の促進、子どもの福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。

手当の金額は、子どもの数や受給者の所得によっても異なりますが、児童1人で全部支給の場合には、月額4万1720円が支給されます。個々のケースについては、市町村にお問い合わせください。

支給要件に該当している方については、11月30日までに申請すれば、「8月分」から支給されますので、早めに申請されることをお勧めします。

離婚の方法

離婚したいと思った時、夫婦の間で話し合いができるならば、それが一番望ましいことです。実際、約9割の夫婦が協議離婚をしています。

でも、どうしても夫婦だけでは冷静に話し合えない、あるいは相手が話し合いに応じない、という場合には、家庭裁判所へ調停を申し立て、そこで調停委員を交えて話し合うことができます。とは言っても、夫婦同席で顔を突き合わせて話すわけではなく、一人ずつ交代で調停委員と話し、調停委員が話し合いの調整を行います。

離婚の場合、すぐに訴訟を起こすことはできず、まず調停から始めなければなりません。調停は、相手方の住所を管轄する家裁に申し立てます。ですから、例えば、夫婦が別居していて、妻が京都、夫が大阪に住んでいる場合には、妻が申し立てる場合には大阪家裁に、夫が申し立てる場合には京都家裁に、というようになります。

調停で話し合いがつかなければ、家裁に離婚訴訟を起こすことになります。離婚訴訟は、自分の住所地でも相手方の住所地でもどちらの家裁に起こすことも可能です。

 

親の介護と相続(寄与分について)

高齢化社会の現在、子ども自身も年老いていく中での親の介護は大きな社会問題だと思われます。子どもの中で、実際介護に携わる人とそれ以外の人とでは、その負担には大きな差があると推測され、親の死後、遺産分割でモメることが少なくありません。

遺言がない場合、子どもの法定相続分は平等です(民法900条4号)。

ただ、亡くなった親の財産の維持や増加に特別の貢献があった相続人に対しては、「寄与分」が認められ、その分、相続財産が増えることとなります(民法904条の2)。

とは言っても、はたして、「寄与」と言えるかどうか、それが「特別な寄与」かどうか、財産の維持・増加があったかなど難しい要件があります。

いずれにしても、遺産分割をめぐってモメるようであれば、家庭裁判所で話し合われることをお勧めします。

離婚を考える時に

夫にとっても妻にとっても、一生、離婚なんて思ってみることがなければ、これほど幸せなことはないかもしれませんね。でも、2009年の離婚は25万3000組。これは、約2分に1組の夫婦が離婚している計算になります。

私の所にもたくさんの離婚に関する相談が寄せられ、女性にとって離婚後の生活が非常に厳しいという現実を考えると、離婚に関する知識も頭の片隅に置いてもらえば、と思います。

離婚にとって様々な問題が生じますが、その中で特に問題となるのが、子どものこと(親権者・養育費)と財産的なこと(財産分与・慰謝料)です。

離婚で一番犠牲になるのはなんと言っても子どもです。しかし、だからと言って、愛情の冷めた形だけの夫婦関係の中では、決して子どもは幸せにならないでしょう。親権が争いとなった場合、妻が子どもを育てていれば、多く場合妻の側に親権が認められています。

また夫婦二人で築きあげた財産は、たとえ名義が夫であっても、妻の貢献した分を正当に評価して要求することができます。

離婚について色々知りたい時や夫婦の間で話し合いができない時など、お気軽にご相談ください。

京都も最賃が生活保護を下回る

厚生労働省は、7月14日、最低賃金で働くよりも生活保護での収入が多い「逆転現象」が12都道府県で起きているとの調査結果を発表し、その中に京都も入っていました。

普通、賃金は雇う人と雇われる人との話し合いで決まるわけですが、かと言って、お互いが納得しさえすれば、いくら安くてもかまわないというわけではありません。

「最低賃金法」という法律があって、雇い主は最低これだけの賃金は支払わなくてはならないという枠を定めており、これに違反した賃金しか支払っていない雇い主は差額を支払う義務があることはもとより、罰則も課せられます。ちなみに京都の最低賃金は、時給729円。

他方、生活保護の水準というのは、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するというのが建前です。それなのに最賃での生活が生活保護より低いって、いったいどういうことなんでしょうか。

もちろん最賃に合わせて、生活保護水準を下げるなんて話は絶対にナンセンス!最賃を早急に引き上げることが求められています。

おひとりさまの法律~遺言(尊厳死)

 
最近、複数の方から「尊厳死」の遺言の相談を受けました。
 
「尊厳死」とは、一般的には延命治療の中止ないし拒否のことを言います。
 
自分らしく生き、自分らしく死にたいと強く願う人にとっては、遺言に書いてでも尊厳死を必ず実現したいと思われるのでしょう。
 
尊厳死は、家族の同意、そして医師の法的な責任が関わってくるものなので、遺言に書いておいても必ず実現できるとは限りません。しかし、家族や医師が法の枠内で遺言者の意思に従おうと思わせるような内容を作成しておくことが大切だと思います。

養育費の約束と増額・減額

離婚した男女が子どもの養育費をめぐって、昨年、家裁に申し立てられた件数は12万1424件で、過去最多となりました。

最近は、これまで養育費を求めてこなかった女性側が新たに支払いを求めるケースも増えているそうです。

未成年の子の親は、当然、その子に対して扶養義務を負います。

離婚の時には、取り決めしなかった場合でも、子が未成年の間は、いつでも養育費を請求できます。

また約束している場合でも、その後に親や子をめぐる事情に変化が生じた時には、その事情によっては養育費の増減を求めることも可能です。

当事者間で十分な話し合いすることが望まれますが、できなければ、家裁に申し立てて解決を図りましょう。

 

 

非嫡出子の相続分 違憲の可能性

民法では、正式の結婚によらないで産まれた婚外子(非嫡出子)の相続分は、嫡出子の半分となっています(民法900条4号)。

しかし、子ども自身は親を選べるわけではないので、この規定は、社会的身分による差別を禁じた憲法14条に違反するという議論がありました。

最高裁は、1995年合憲判断をしましたが、去る7月7日最高裁は、この規定の憲法違反が争点の事件で大法廷に回付し、合憲判断が見直される可能性が出てきました。

一日も早く、子どもの人権を尊重する、違憲判決が下されることを望みます。

 

 

 

初登場のごあいさつ

 
「ホ・ウ・リ・ツって何ですか?」
 
国語辞典には「国民が従わなければならないと定められた、その国の決まり」と書かれています。「法律なんて難しいからワカンナイ」なんて思っておられる方が多いのではないでしょうか。
 
でも、私たちの身のまわりには、いっぱい法律があって、知らず知らずのうちにそれらに従って行動してるんです。たとえば5月5日は「こどもの日」で祝日ですね。これだって、ちゃんと「国民の祝日に関する法律」で定められているんです。未成年者の喫煙禁止しかり(未成年者の喫煙禁止法)、NHKの受信料(放送法)しかり。
 
また法律を知らないとソンすることもたくさんありますよ。たとえば、法律で色々な権利が定められていても、一定の期間、使わないと「時効」で消えちゃうこともあるんです。「そんな法律知らんかった」とあとで後悔しないように、気づいた時にはもう遅すぎたということにならないように、法律の基礎的なことを知って賢くなりましょう。
 
このコラムが皆さんの少しでもお役に立てたらと思っています。

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