1. 女性弁護士の法律コラム

女性弁護士の法律コラム

 
昨年11月15日付け当コラムにも書きましたが、11月15日は「いい遺言(いごん)」の日で、11月22日(いい夫婦の日)までの1週間を夫婦遺言週間と呼ぶそうです。
 
自分で遺言を書く場合には、全文・日付・氏名のすべて手書きし、印を押さなければなりません(民法968条1項)。
この日付を書かなければならないのは、遺言は複数ある場合には日付が新しいものが有効であることや遺言を書いた時に意思能力(遺言能力)があったかどうかを判断する日となるからです。
ですから、いくら遺言としての体裁が整っていても、日付の記載のない遺言は無効となります。
 
ただ、できるだけ遺言者の意思を尊重するという趣旨で、単なる誤記の場合や、真実の作成日が判明するような場合には、遺言は無効にならないとされています。
例えば、「昭和五拾四拾年」は「昭和五拾四年」の誤記
「正和」は「昭和」の誤記
などです。
 
でも「平成23年11月吉日」という記載は、日付の記載を欠き無効という判例がありますので、注意してください。
 
 
 
 
 
 

過労死企業名の公開を命じる判決

 
原告寺西笑子さん、快挙です。
 
過労死などで社員が労災認定を受けた企業名の情報公開を求めたところ、大阪労働局は個人のプライバシー保護などを理由にこれを拒否、その適否が争われた訴訟の判決で、大阪地裁は、11月10日、「不開示は違法」と判断し、労働局の決定を取り消しました(2011年11月11日京都新聞朝刊)。
 
これまで厚生労働省は、労災認定件数は発表していましたが、企業名は公表しておらず、企業名の情報公開を認めた判決は全国で初めてです。
判決は「社員の病名、職種など、労働局が公開して、一般人が入手できる情報と企業名を照合しても、特定の個人を識別することは不可能」として個人のプライバシー侵害の可能性を否定しました。
また、企業についても「情報公開でただちに取引先の信用を失うなど、適正な企業活動に支障が生じるおそれは認められない」と判断しました。
 
原告の寺西さんは、過労自殺した亡夫の労災認定及び企業に対する損害賠償を勝ち取る(当事務所の佐藤弁護士もその弁護団の一員でした)とともに、「全国過労死を考える家族の会」の代表として、過労死・過労自殺の労災認定などの運動に取り組んで来られました。京都の方なので、色々な場所でお目にかかることがあります。
 
過労死などを出した企業名が社会的に明らかになることで、企業はその責任をより自覚し、二度と過労死を出さない健康管理・安全管理を追求すべきです。
 
 

新宿区に生活保護を義務づける判決

 
東京都新宿区で路上生活をしていた男性が、生活保護を認められなかったのは違法だとして区を訴えた訴訟で、東京地裁は、11月8日、保護申請を却下した区の決定を取り消した上で、男性の生活保護を区に義務づける判決を言い渡しました(2011年11月8日ashi.com)。
 
この男性は、2008年5月に路上生活者となり、区に生活保護を申請しようとしました。
ところが、区は、当初はなかなか申請を受け付けようとせず、申請受理後も「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護を却下しました。
 
判決は、一般論として「実際に働いていなくても、働く意思が客観的に認められれば、自ら生活を維持するため努力を尽くしているといえる」と述べ、生活保護を認めるべきと判断しました。
また、この男性については、路上生活者を支援する雑誌を売ったり、ハローワークに通っていた事情などを指摘し、「男性は生活維持のため努力していた」と認め、生活保護の却下は違法と結論づけました。
 
折しも、厚生労働省は、全国で生活保護を受給している人が今年7月時点で205万495人となり、過去最多を記録したと発表しました。
これほど多く生活保護者を生み出したのは、国の構造改革が根本原因です。国が国民の生活を保護するのは当然であって、難クセをつけて生活保護を認めないのは許せません。
 
ちなみに、この判決を下したのは、私と同期の裁判官のようです。
 
 
 
 
 

 
2011年6月21日付けのこの法律コラムでお知らせしましたが、東日本大震災の特例措置の期限が迫って来ました。
 
震災発生3ヶ月前の平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方については、相続するか、あるいは相続放棄するかを考える期間について、
平成23年11月30日まで
延長されることになりました。
特例の対象となるのは、災害救助法が適用されている地域のうち被災地を中心とした9県に被災時に住所を置いていた人です。
 
もう11月に入りましたので、相続放棄をお考えの方は、期限が過ぎてしまわないよう、速やかに家庭裁判所で手続きを行ってください。
 
 
 
 
 
もう11月に入りましたので、
 

履行勧告・履行命令

 
私が別居中の妻の代理人となって家裁の調停で婚姻費用を取り決めたにもかかわらず、最近になって、夫が婚姻費用を払って来ないと妻が訴えてきました。
夫にも弁護士がついていたので、その弁護士に連絡しましたが、「説得してるんだけど、聞いてくれない。強制執行してくれたらいいと言っている。」というつれない返事。
 
すぐに強制執行もできるのですが、とりあえず、家裁に履行勧告をしてもらうよう、妻にアドバイスをしました。
 
家庭裁判所を利用して、婚姻費用や養育費などの調停や審判などが成立すると、義務者がその義務を履行しない場合、権利者が家裁に申し出をすると、家裁の方から義務者に対し、支払いをするよう勧告をしてくれるのです。但し、あくまで勧告ですので、強制力はありません。
 
そして、今日、その妻が事務所に来訪され、「入金されました」と報告してくれました。
よかったね!
 
なお、義務者が履行勧告に従わない場合には、申立てにより家裁は履行命令も出してくれます。この履行命令に正当な理由なく従わない場合には、過料に処せられることもあります。
 
不払いが起こったら、まず家裁に履行勧告や履行命令を求めてみましょう。
 
 

「地震補償せず」の約款あるも、保険金を支払え

 
東日本大震災で漏水した東京都杉並区のマンションについて、損害保険契約には「地震による損害は補償しない」という免責条項がありましたが、東京地裁は「震度5強程度の揺れは免責対象に当たらない」として、保険会社(東京海上日動火災保険)に対し保険金の支払いを命じました(日本経済新聞WEB)。
 
地震保険以外の損害保険の商品は、約款で、一般的には地震による被害は補償の対象外とされています。
この判決は、地震多発国の日本では「一定の耐震性は通常備えているべきだと認識されている」と指摘し、その上で、免責対象となるのは「通常の想定を超えて保険金支払いが困難となるような巨大かつ異常な地震だ」として、マンション付近で記録した最大震度5強の揺れは「対象の巨大地震にはならない」と判断しました。
 
約款などの書面があると、通常なら「請求は無理」とあきらめてしまいがちですが、争ってみるものですね。でも、影響が大きいので、保険会社もきっと控訴することでしょう。今後の審理が注目されます。
 
 

公務災害の遺族補償における男女差別

 
仕事によってケガをしたり病気になったりした場合、民間の労働者は労働災害(労災)となりますが、公務員は公務災害となります。
 
その公務災害の補償(年金)について、遺族が男性か女性かによって受給資格に差がある地方公務員災害補償法の規定が法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、10月19日大阪の男性遺族が提訴しました(2011年10月20日付け京都新聞朝刊)。
 
この件については、私の2010年7月21日付け「ブログ マチベンの日々」で紹介したことがありました。当時は「近く訴訟を提起する」と報道されており、その後、どうなったのかしら?と思っていたところでした。
 
私は、これまで公務災害の死亡事案については妻が遺族の場合だけしか担当したことがなく、法律が差別的規定になっていることを知りませんでした。
 
公務災害で夫が死亡した場合、妻には年齢を問わず受給資格があり、遺族補償年金は平均給与額の153~245日分が毎年支給される一方、夫が遺族の場合は、受給資格が60歳以上に限定され、年金受給資格のない夫の場合は平均給与額の千日分にあたる一時金しか支給されません。
 
遺族が男性か女性かによって受給資格に差があるのは明らかな男女差別です。国は、無駄に争わず、早期に法改正を行うべきです。
 
 
 
 

離婚の慰藉料

 
離婚の際に考えられる金銭の請求の1つに「慰藉料」があります。
 
これは、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われるもので、離婚の原因が不貞行為や暴力であれば、慰藉料を請求することができます。
ただ、離婚する場合、多かれ少なかれ精神的苦痛が伴うと思われますが、離婚すれば必ず慰藉料がもらえるわけではありません。慰藉料は、離婚について主に責任のある一方配偶者から他方配偶者に支払われるべきものですから、性格の不一致や価値観の相違など、どちらが悪いとも言い難い場合には慰藉料はもらえません。
 
でも、自分だけの判断で「私の場合は、慰藉料は無理」とか「慰藉料がもらえる」などと決めつけないで、弁護士の意見を聞いてみることをお勧めします。
 
慰藉料の具体的な金額については、夫婦それぞれの有責性の程度、婚姻期間などによって事案毎に異なります。夫婦の間で、慰藉料の合意ができる場合であれば、その金額に上限はありませんが、裁判所が判決をする場合は、残念ながら500万円を超える慰藉料を認定することは滅多にありません。
 
慰藉料は、離婚の際の条件の1つとして話し合われることをお勧めしますが、離婚届を出してしまった後でも、3年以内であれば、請求できます。
 
 
 
 

非嫡出子の相続差別 違憲(大阪高裁)

 
結婚していない男女の間の子ども(非嫡出子)の相続分を、結婚している夫婦間の子ども(嫡出子)の半分とする民法の規定(900条4号)について、大阪高裁が、2011年8月24日付けで、法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして、非嫡出子に同等の相続を認める決定をしていたことがわかりました(2011年10月4日付け朝日新聞朝刊)。
 
2011年9月11日付けの当コラムで、最高裁に係属していた同種事件について当事者が訴訟外で示談してしまったため、事件がなくなってしまったことをご紹介しました。
 
この高裁決定についても、当事者は争わず違憲判断が確定したようで、最高裁に同種事件がないことには変わりありません。
 
法制審議会(法相の諮問機関)は、既に1996年に非嫡出子と嫡出子の相続分を同等にする民法改正要綱案をまとめています。最高裁の判断を待つまでもなく、1日も早い民法改正が求められていいます。
 
 
 

京都市がDV相談センターを開設

 
京都市は、10月3日、配偶者や恋人からの暴力(DV)による被害者の支援拠点「市DV相談支援センター」を開設します(2011年9月20日付け京都新聞朝刊)。
 
24時間つながる専用ダイヤルが設けられ、相談だけでなく、身体的な安全から心のサポート、住居の確保や就職など多方面にわたる支援が予定されているとのことです。
5人が常駐し、カウンセリングの相談業務に加え、裁判所への保護命令手続にスタッフが同行したり、就職支援で職業訓練施設への紹介もするそうです。
但し、センターに加害者が押しかけることを防ぐため、看板も掲げないとのこと。
 
DV被害者にとって、とても心強い施設ですね。
 
 

親権者の変更の基準

 
子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって親権者を他の一方に変更することができます(民法819条6項)。
 
離婚の時は、話し合いで親権者を決めることができますが、親権者の変更は、必ず、家裁の調停や審判によらなければなりません。
どのような場合に親権者の変更が認められるかは、家裁の裁判官の裁量にゆだねられていますが、先に親権者を決めた後に、「著しい事情の変更があったこと」が必要とされています。実際には、子どもの意思や現状の尊重などが重要な考慮の要素になっているように思われます。
 
過去に変更が認められた事案としては、非親権者が子どもを監護していて、子が親権者の下に戻る意思が全くない、あるいは拒絶している場合などがあります。
 
 

「非嫡出子の相続分」の違憲判断は先送り!?

 
民法では、正式の婚姻によらないで産まれた婚外子(非嫡出子)の相続分は、嫡出子の半分となっています(民法900条4号)。
しかし、子ども自身は親を選べるわけではないので、この規定は、社会的身分による差別を禁じた憲法14条に違反するという議論があります。
 
最高裁は、1995年に合憲判断をしましたが、昨年7月7日、この規定の憲法違反が争点の事件を大法廷に回付したことにより、合憲判断が見直される可能性が出るのでは、ということで注目されていました(当コラム2010年7月10日)。
 
ところが、違憲判断どころか、この事件は、意外な形で終わってしまったようです。
 
実は、最高裁に抗告していた当事者が、代理人弁護士に相談することなく、相手方と直接和解交渉を行い、和解が成立してしまいました。そのことを知った最高裁判所は、抗告の利益を欠くに至ったとして却下の決定の下し、事件は終了してしまいました。(最高裁平成23年3月9日決定)
残念でなりません。
 
政権が、民主党であろうと、自民党であろうと、この規定に対し保守層の根強い反対意見がある今の国会で、この規定の改正を実現することはおよそ期待できません。最高裁が「違憲」という司法の機能を果たすことが求められていたのに・・・・・
 
現在、同種の事案で係争されている事件があれば、1日も早く最高裁に抗告してほしいと思います。
 
 

「嫁女優」~嫁姑問題と離婚~

 
朝日新聞(8月2日・3日付け)に、面白い特集が載っていました。タイトルは、「嫁女優」。
 
「表面上は当たり障りなくやっています。でも、決してわかりあえてはいません。だからこそ『嫁女優』なんですよ」(嫁)
他方、姑も「姑女優を演じています。主演女優賞でもいただけたら、と一人心の内で笑っております」
 
嫁姑問題は古くからある問題ですが、姑との関係だけで離婚の相談に来られる方はそれほど多くはありません。
交際して結婚したのは、あくまで夫ですから、これまで全く違う生活をし、たまたま自分が結婚した男性の母親=他人とうまくいかなくても不思議ではありません。「嫁女優」という演技に大きなストレスを感じ、うつになってしまった人もいます。でも、「嫁女優」が無理でも、それだけで離婚というのは難しいかなと思います。
 
実は、嫁姑問題で重要なことは、間に立つ夫の姿勢です。
夫と姑は親子ですから、文句を言ったり喧嘩をしたりしても分かりあえるものだと思います。ですから、夫は基本的には妻(嫁)の立場に立って、嫁姑関係を調整することが求められます。
夫がそのような立場に立たず、むしろ妻に対し「嫁なんだから我慢せよ」と言ったり、妻の訴えに耳を貸さないような場合には、その夫の無責任さ・無理解が離婚原因となり、離婚が認められることになるでしょう。
 
 

 
速報です。
 
東日本大震災で被災した人に届けられる義援金や、震災で亡くなった人の遺族に支給される災害弔慰金などを、金融機関から借金がある場合でも差し押さえられないようにするための法律が、8月23日、成立しました。
 
これにより、義援金、災害弔慰金、被災者生活再建支援金、災害障害見舞金については、差し押さえができなくなりました。
自己破産をする方の生活再建にもつながるものです。
 
 

女性の再婚禁止期間

 
つい先頃、昨年に離婚が成立した女性依頼者の方から「結婚しました」という葉書が届きました。
親娘ほどの年齢差があったわけではありませんでしたが、とても可愛らしい方で、私は娘のように思っていました。
その彼女が再婚したという連絡をくれたので、本当に嬉しく思いました。
 
ところで、女性の場合は、離婚が成立しても、すぐに再婚できるわけではなく、民法は「6ヶ月」を経過しないと再婚できないと定めています(733条1項)。
 
この法の趣旨は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、この間に生まれた子の父親がどちらの子どもかわからなくなるということのようですが、今時、親子鑑定をすれば、かなりの確率で父親を特定できますし、そもそも子どもを生むことができない女性や生めない年齢に達した女性についても一律に適用されるという不合理もあります。
 
過去に、この規定が憲法14条1項の法の下の平等に違反するとして最高裁まで争われたことがありますが、最高裁は、平成7年12月、「父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の予防を目的とする以上、憲法14条1項に違反しない」と判断しました。
 
今の時代に全くそぐわない男女差別のこの法律。是非とも改正したいものです。
 

離婚を有利に進める方法(その4)

 
世間体などを考えず、きちんと医者に行くこと。
 
家庭内暴力(DV)を受けて怪我などをした時、「恥ずかしいから」とか「世間体が悪いから」として、医者に行かない場合が少なくありません。
でも、医者に行っておれば、後で診断書も書いてもらえますし、カルテにもその記載が残されますので、DVを受けていたという有力な証拠になります。
 
また、夫婦間の不和によって自律神経に不調を来したような場合にも、神経内科あるいはカウンセリング等の専門機関の受診をお勧めします。
もちろん、ご本人の体調の回復に何らかのメリットがあることはもとより、やはりカルテにその原因などが記載されるからです。
 
医者には守秘義務がありますので、他人に知られたくないことを話しても、他に漏れることはありません。
なお、カルテの保存期間は5年間なので、注意しましょう。
 

 
災害弔慰金は、災害で死亡した人の配偶者・子ども・両親・祖父母・孫が支給対象で、家計を支えている人が亡くなった場合は500万円、それ以外の人の場合は250万円が支給されます。
 
しかし、今回の東日本大震災では、兄弟姉妹を亡くした人も少なくないことから、支給対象を広げることが求められていました。
昨日、国会で、災害弔慰金支給法が改正され、兄弟姉妹でも、死亡した人と生前同居するか、生計を同じくし、ほかに遺族がいない場合には、支給の対象となることが決まりました。
 

 
最近、借家の敷引きや更新料をめぐって、最高裁の不当判決が続いていましたが、7月21日、欠陥住宅に関し、久しぶりに評価できる判決が出ました。
事案は、オーナーとして購入した9階建てマンションの床や壁にひび割れなどの欠陥があったとして、施工業者らに計3憶5000万円の損賠賠償を求めたというものです。
 
2007年に最高裁は、「建物の設計・施工者等は、建物に基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負う」という初判断を示しました。
 
今回の最高裁判決は、その「基本的な安全性が欠ける」瑕疵(=欠陥)とは、「居住者等の生命・身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、その瑕疵が、現実的な危険をもたらしている場合に限らず、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合にも該当する」との判示し、将来の危険にも賠償義務があるという被害者保護の判断を下しました。
 
 

親権者の変更(親権者が死亡した場合)

 
離婚後に親権者となった者が未成年の子どもを残して死亡した場合は、親権者はどうなるのでしょうか。
 
民法は、未成年者に対し親権を行う者がないときは、後見が開始すると定めていますから(838条1項)、通常は、死亡した親権者の親族が後見人として選任されることが多いようです。
 
また、親権者が死ぬ前に遺言で未成年者の後見人を指定しておれば、それに従うことになります(民法839条1項)
 
ただ、離婚時に親権者にならなかった他方の親が自分を親権者と指定してほしいと家庭裁判所に申し立てることがあります。
このような場合でも、親だからと言って当然に他方の親に親権の変更が認められるわけではありません。
養育費の支払いなどの監護の実績や子どもの意思などの事情を総合評価して家庭裁判所が決定します。
 

 
東日本大震災による被災者が、将来、損害賠償を求める際の記録として利用できる記録ノート(新潟県弁護士会作成)については、5月16日の当コラムでご紹介しました。
 
今回、ご紹介するのは、原発事故の被害者の方々が、東京電力に対する損害賠償を求める際の記録して役立つよう、福島県弁護士会が作成した「福島県原子力災害被災者・記録ノート」です。
 
原発事故の被害者の皆さんの多くは、損害賠償請求の内容や方法などについての情報も少なく、不安な日々を送っておられると思います。
しかし、記憶は時間の経過とともに薄れていく可能性があり、かつ、日々の生活の中で、何をどのように記録しておいたらよいか、どのような資料を残しておいたらよいのかなどがわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記録ノートは、原発事故による補償を受けるために必要なことを書き留めておくもので、そのほかに、弁護士会をはじめとする相談窓口の記載や賠償金支払いまでの流れの説明もあります。
 
福島県弁護士会のホームページからダウンロードできますので、是非、ご活用ください。

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